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教養としての「会計」入門を読んだ

教養としての「会計」入門という本を読んだ。

著者の知識の深さが伝わってくる一冊。全ビジネスパーソンが読んでおいて後悔はない内容だし、簿記3級を取り終えたくらいの人にとっては特に有用だと思った。

以下、印象に残った内容のうちごくごく一部。

資産の意味

資産とは、「ビジネスに必要な仕組み」「調達した資金を何に使っているか」「資金の運用方法」「将来、企業の経済的価値を増加させるポテンシャル」と書かれてた。
これまではなんとなく「財産、あると嬉しいもの」くらいの認識だったけど、こういった「運用することで将来利益を生むもの」という考え方を持つのは大事だなと思った。

会社経営者というのは、株主から預かったお金を自社のビジネス(=貸借対照表の左側)で"運用"している"ファンドマネージャー"のようなものです。運用した結果の利回りが利益です。

この意識があると、自分が保有している色んな資産は将来どれくらいのキャッシュ(やその他ポジティブな影響)を生み出すのか利回りを意識的に考えるようになる。いわゆる「金持ち父さん」の「本当の資産にお金を使え。多くの人は負債を手に入れ、資産だと思い込んでいる。資産とはポケットにお金をいれてくれるもの。」という主張と通ずるものがある。

子会社について

子会社、関連会社、関係会社、連結財務諸表、この辺の用語についてわかりやすくまとまってた。昔は議決権比率だけで子会社判定をしていたらしいけど、それだと容易に連結外し(粉飾)ができてしまうから、「意思決定を支配してるかどうか」も判定基準に加わったらしい。このセクションに限らず、「どういう経緯でそうなったのか」をちゃんと説明してくれるので腹落ちした。「グーグルにおける議決権比率」のコラムも面白かった。

収益と収入の違い

「収入は入ってきたものすべて。収益はそこから費用を引いた残り」この認識だと会計上は間違い。

「収益」は損益計算書のプラスの総称であり、費用は引かれてない。(収益 - 費用 = 利益)。
「収入」はキャッシュが入ってくること。(収入 - 支出 = 収支)

両者の違いは発生主義か現金主義か。役務提供時に収益は立つけど入金されるまでは収入はない。発生主義は経済的実態がタイムリーに記録されるのがメリットだが、キャッシュ状況とは一致しないので注意が必要。(黒字倒産の原因になったりする。)

費用収益対応原則

「費用は収益獲得の経済的犠牲である。収益獲得に貢献した部分を費用として収益と対応づけて計上する」というもの。

これの意味するところは、「キャッシュの支払い = 費用ではない」ということ。収益獲得のための経済的犠牲、収益獲得に貢献したものだけが「費用」となる。

「支出(キャッシュアウト)」は収益を獲得するための犠牲である「費用」か、収益に貢献しない「損失」に分けられる。「営業外費用」とは言うけど「特別費用」とは言わず「特別損失」と言うのはそれが「経済的犠牲によって何か獲得」したわけではなく、単に経済的に損をしてるから、らしい。「全ての支出は将来回収予定のある投資なのか、浪費なのか」と言い換えることもできると思うので、これまた個人の家計に応用できる概念だなーと思った。企業活動と違って個人消費においては必ずしも浪費 = 損ではないけれど。

会計を学ぶメリット

会計を学ぶとついつい企業分析とかに興味が出てきて個別株に手を出したくなってしまいがちだけど、そんなことしても基本的には成果は出ないしタイムパフォーマンスもとても悪い。会計を学ぶ最大のメリットは、その概念を家計や個人のビジネスに応用できることだと思ってるので、今回得た知識の使い道を間違わないようにうまく活用していきたい。